寝ぼけ眼で、けれど確かに少年は見た。
赤い服を着た男が、窓から飛び出していく姿を。

弾かれたように布団を蹴飛ばし、窓際に駆け寄る。
身を乗り出して階下を見回したが、

男の姿は既に無く、
土足で踏まれた窓枠にも
何の痕跡も残っていなかった。

夢、
だったのかな。

しばし瞬いてから、不意に外気の冷たさに気付く。
窓を閉めようと室内に引っ込んで、

入れ違いに、
仄かなタバコの臭いが流れ出ていった。

 

 

special thanx !! 繰刃紅介

samedabox@2008