Evidence




 突然やってくるのはいつものことだけど。
 まさか今日来るとは思ってなかった。
 それも……わざわざ仕事持参で。
「おい、入れろよ」
「やだ」
「あ?」
 玄関先で押し問答。
 絶対入れてなんかやらないんだから。
「ルパンに伝えて。私はやらないから自分でどうぞ、って」
「お……」
 まだ何か言いたげな次元の目の前でドアを閉める。
 鍵閉めて、チェーンかけて、そのままドアにもたれかかる。
「何も今日でなくても……いいでしょ?」
 ドアの向こうにいる次元には聞こえないように呟いた。
 今日はホワイトディ。
 そりゃ、日本だけの行事だとわかってるけど、さ。
 来てくれて嬉しかったのに、仕事の用件ですか!
 期待した私が悪かったのもわかってる。
 でも……このくらいのわがままはいいでしょ?
「……アジトにいるからな?」
 ドア越しに次元の声を聞いた。
 返事はしない。
 今日はアジトに行くのも取りやめ。決定。
?」
 そんな声出しても、絶対開けてやらないんだから!
「……また後でな」
 返事が返ってこないので諦めたらしい。
 足音が遠ざかっていく。
 何で怒ってるのか、気づきもしなかった……?
 ああそうですか!
 大体、いっつも自分勝手で!
 自分の都合のいい時ばっかり……。
 ま、まあ、そんなトコもいいんだけど。
「次元……」
 ちゃんと、好きだという気持ちを示してほしいと思うのはワガママかな?
 会う度に抱かれるだけだと、不安になるんだよ?
 ねぇ。
 ちゃんと言ってほしいだけなんだよ?
「言ってよ、ねぇ……」
 そういう言葉を安売りする人じゃないって知ってる。
 でも、せめて、こんな日くらいは。

 !?
 わ、わざわざ、気配殺してたね!?
 し、しかも、帰ったふりして……出てくるの待ってたんだ……!
 もう……!
「怒るなよ。……忘れてるわけじゃねぇんだから、よ」
 ……あれ?
、なぁ。開けてくれねぇか?」
 ……本気で、困ってる?
 あの次元が?
 こんなことで?
「わざわざ、ルパンから仕事ぶんどってきたんだぜ? 開けろよ、なぁ」
 わざわざ?
 このために?
 本当に?
「……嘘じゃないよね?」
「嘘じゃねぇさ」
 そろそろと鍵を開けて、そっとドアを開ける。
 照れくさそうにしてる次元の顔が、そこにある。
「……開けろよ」
「まだダメ」
 ねぇ、まさかそれだけで許されるなんて思ってないでしょう?
「今日のこと、忘れてなかった証拠、見せてくれたらね?」



 そのポケットの中に入ってる包みを見せてくれたら、開けてあげるよ。
 私を愛してる証拠、見せてくれるでしょう?



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風岡 葵(kaxa)

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2003/03/21